まずはMacBook ProがDTM/DAW用途でどれだけ使えるか?
まずは、2013年3月現在、現行のMacのスペックを見ていく前に、比較対象として、私のメインマシンであるMacBook Pro 17inch 2011 Earlyのスペック/性能や、使用シーンを紹介していきます。
私のメインマシンがノートパソコンである理由
私の現在のメインマシンは、MacBook Pro 17inch 2011 Earlyです。
これをThunderbolt Display(27inchのApple純正ディスプレイ)につなげて、キーボードもテンキー付きのデスクトップ用のUSキーボードをUSBでつなげ、さらに、マウスも使いますから、制作やレッスン時はデスクトップマシンであるiMacとほぼ変わらないといった感じで使っています。
なお、MacBook ProとThunderbolt Displayをつなげると、デュアルディスプレイ状態で使えるので気に入っています。
ちなみに、私の場合は、元々ディスプレイ用アームであるエルゴトロン LX Desk Mount LCD Armに、専用のエルゴトロン ノートブックトレイにMacBook Pro 17inch 2011 Earlyを載せています。
MacBook ProとThunderbolt Displayでレッスンはもちろん、楽曲制作の仕事も行っている |
さて、普通はソフトシンセを何個も立ち上げたり、プラグインエフェクトもバンバン使い、使用トラック数もそれなりに多いというDTM/DAWソフトを使った音楽制作用途では、デスクトップマシンの方が絶対に有利です。
しかし、私はなぜiMacやMac Proではないのでしょうか…??
それは、プリプロなどで事務所に機材を持ち込む機会が出てきてしまったからです。
MacBook Pro 17inch 2011 Earlyの前は、iMac 27inch 2009 Lateを使っていたのですが、機材持ち出しの機会が増えるとなると、iMacをあれこれ持ち運ぶのは現実的ではなく、デスクトップパソコンに近いスペックを持つ持ち運べるパソコンが欲しくなった…これが、MacBook Pro 17inch 2011 Earlyを購入した理由です。
ちなみに、17inchのMacBook Proは、決して万人におすすめ出来るノートパソコンではありません…。
現在では発売されなくなってしまった17inchのMacBook Proですが、正直持ち運ぶノートパソコンとしては大き過ぎるものです。
MacBook Pro 17inch 2011 Earlyは、重さが3kgを超えますし、一番軽くて小さいノート型のMacである、MacBook Air 11inchが1kgちょいと思えば、MacBook Pro 17inch 2011 Earlyは、MacBook Air 11inchの3倍。
でも、私は持ち運ぶために17inchのMacBook Proを買いました。
それは、ノートパソコンの弱点は、どうしてもiMacなどと比較してディスプレイのサイズが小さいことですし、DTM/DAWソフトは、ディスプレイが大きければ大きいほど、作業効率が良い…
こうなると、一番ディスプレイが大きい17inchのMacBook Proしかない…少々ノートパソコンとしては重い部類のMacでも、iMacは10kg越えですから、私の希望は満たしているということだったのです。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、DTM/DAWソフトを使った音楽制作用途にMacを購入しようとされている方へ、私のメインマシンであるMacBook Pro 17inch 2011 Earlyのスペックで、どれだけ快適にDTM/DAWソフトが使えるのか、または、どれだけソフトシンセやプラグインエフェクトが使えるのかというところをご参考程度にご紹介したいと思います。
そして、MacBook Pro 17inch 2011 Earlyと2013年3月現在、現行の低価格帯Macと性能比較していきたいと思います。
私のMacBook Pro 17inch 2011 Earlyのスペック/DTM制作環境
- CPU : 2.2GHz クアッドコアIntel Core i7
- メモリ : 16GB U-MAX S.O.DDR3-1333 16GBキット(8GBx2枚) DCSoD3-16GB-1333
- Apple公式の最大メモリ搭載量は8GBですが、実際は16GBまで認識し使える機種のため、自身で増設しています。今のところ、1年以上不具合もありません。
- SSD 512GB A-DATA Technology SSD SATAIII 512GB ASX900S3-512GM-C
- 元々は、HDD 750GB(5,400rpm)が内蔵されていますが、自身でSSDに換装しています。こちらは、半年前に換装して、まったく不具合がありません。
- 外付けHDD WD My Book Thunderbolt Duo 4.0TB
- Thunderbolt接続の外付けHDDにソフトシンセのライブラリやDTM/DAWソフトのプロジェクトフォルダを入れています。
- 転送速度がとても早いと言われているThunderboltですが、DTM/DAW用途で使う分には、Firewire800接続で使っていた外付けHDDと体感的に変わった気がしていません…。ファイルコピーの速度は、すごく上がりました。
- オーディオインターフェース RME FIREFACE UFX
- USB2.0でもFirewireでも接続出来るオーディオインターフェースですが、私はレーテンシーが少なかったUSB2.0の方でMacBook Proと接続しています。
というわけで、デフォルトの状態より結構自分で手を加えてしまっているわけですが…おかげで、発売から2年近く経ったMacBook Pro 17inch 2011 Earlyでも、まったく不満がないというわけではありませんが、十分仕事がこなせるDTM/DAW環境となっています。
もうひとつ、パソコンの性能を計る上で、目安となるのがベンチマークです。
ざっくり言うと、パソコンの性能に点数をつけてくれるソフトのことをベンチマークソフトと呼び、いつも私は、新型のMacが発売されるとこのサイトをチェックするようにしています。
Mac Benchmarks – Geekbench Browser
ちなみに、上記のサイトで見てみると、私のMacBook Pro 17inch 2011 Earlyのスコアは…
MacBook Pro 17inch 2011 Earlyのベンチマークスコア / Geekbenchより |
10661ということですね。
もちろん、この数字、誤差がありますし、本当にパソコンに詳しい方から言わせると色々あるのだと思いますが、私はパソコン専門家ではなく作曲家ということで…(笑)
目安で見ている数字です。
MacBook Pro 17inch 2011 Earlyでどれだけソフトシンセが使えるか?
使用DTM/DAWソフト | Cubase Ver.6.5.4 |
---|---|
使用トラック数 | 52
※オーディオ/インストゥルメンタル/MIDI/グループチャンネル/FX含む |
使用ソフトシンセ | 【リズムトラック】
【ベース】
【キーボード/ブラス】
【ギター】
【仮トラック】
|
使用オーディオトラック | 【ボーカル】
|
使用エフェクト |
計92個のエフェクト使用 |
使用したソフトシンセ/プラグインエフェクト画面/Cubase |
これだけ使って、Cubaseのパフォーマンスメーターは、
ちなみに、今回ぐらいのトラック数やソフトシンセ/プラグインエフェクトを使うのは、私の作る曲の中では、標準的な数となります。
基本的に上記の例に挙げた楽曲はバンドものだったので、これがリズムが打ち込みで、シンセの上モノがあって…となると、もっと増える傾向になります。
また、上記のCubaseのVSTパフォーマンスウインドウは、オーディオインターフェースのバッファーサイズを1024に設定している状態です。
これは、レーテンシーと呼ばれる遅れが目立ってしまい、リアルタイムでソフトシンセを演奏したり、ボーカルやギターをレコーディングするには厳しいが、逆に、CPUの負荷が下がるので、オーディオデータの波形編集やミックスダウン時には快適になるという状態です。
なお、さすがにここまで楽曲が完成に近いデータになると、CPUパワー不足によりたまに「ブツブツ」ノイズは入りますが、Cubaseの再生が止まるわけではありませんので、一応使えるレベルです。
いかがでしょう??細かなことを置いておいたとしても、本記事執筆時点で、2年前に発売されたMacBook Pro 17inch Early(ベンチマークスコア : 10661)で、ここまで出来ます。
最新の安価なMacとMacBook Pro 17inch 2011 Earlyの性能比較
さて、ここでお伝えしたいのが、このBlogでDTM/DAW初心者におすすめしている本記事執筆時点での最新Macと比較して、MacBook Pro 17inch Earlyがどうなのか…ということです。
そこで、DTM/DAW初心者/入門者が最初に検討をしそうな、比較的安価なMacとベンチマークスコア(Mac Benchmarks – Geekbench Browserより引用)を比較してみます。
本記事の基準スペックとしたMacBook Pro 17inch 2011 Earlyは10661 |
持ち運びに一番ストレスのない大人気のノートパソコン/MacBook Air 11inch Mid 2012で6104 |
一番安いデスクトップ型Mac Mac mini 2.5GHz Late 2012で7202 |
当DTM教室が初心者におすすめしているバランスのとれたMacBook Pro 13inch Mid 2012は7161 |
デスクトップ型MacでDTM/DAW初心者に一番おすすめのiMac 21.5inch Late 2012は8892 |
ディスプレイなど除けば、一番安くプロスペックが手に入るMac mini Core i7 クアッドコア2.3GHzで11698 |
以下、表にまとめると…
Mac機種名 | 搭載CPU | 価格 | スコア | コメント |
---|---|---|---|---|
MacBook Pro 17inch 2011 Early | 2.2GHzクアッドコアCore i7 | 生産終了 | 10661 | 私のメインマシン |
MacBook Air 11inch Mid 2012 | 1.7GHzデュアルコアCore i5 | 88,800円 | 6104 | |
MacBook Pro 13inch Mid 2012(Retina非搭載) | 2.5GHzデュアルコアCore i5 | 108,800円 | 7161 | DTM初心者におすすめ |
2.5GHz 2-Core Mac mini Late 2012 | 2.5GHzデュアルコアCore i5 | 52,800円 | 7202 | |
iMac 21.5inch Late 2012 | 2.7GHzクアッドコアCore i5 | 108,800円 | 8892 | DTM初心者におすすめ |
2.3Ghz 4-Core Mac mini Late 2012 | 2.3GHzクアッドコアCore i7 | 68,800円 | 11698 |
ちなみに、ベンチマークスコア自体は、環境によって結構スコアにブレが出るものなので、完全に信用出来るものではありません。
また、DTM/DAWソフトの動作の快適さに、CPUのスペックと同じぐらい大きな影響があるのが、オーディオインターフェースの質です。
大抵、価格が5〜6万円以上するオーディオインターフェースになると、同時入出力数が増えるという点や、DSPを内蔵しているという付加機能の他に、プロに使われるような安定性の高いオーディオインターフェースが選べるようになってきます。
なので、パソコンばかりに多額の投資をして最高スペックのものを持っていたとしても、オーディオインターフェースは1万円を切るような安いものを使うという状況だと、全然快適にDTM/DAWソフトが動作しない…ということも起きます。
私が長らく愛用しているRMEというメーカーのオーディオインターフェースは、その点、WindowsでもMacでも、大変動作が安定しているオーディオインターフェースを作っていることで有名で、何よりもオーディオインターフェースそのものに加え、付属するドライバソフトが安定していることが、私がRMEを使い続ける理由です。
そういった前提をご理解いただいた上で、ベンチマークスコアを比較してみると、私の経験上、スコアが1,000違うと、目一杯パソコンのパワーを使うような作業をして、ようやく微妙な違いを感じるというぐらいの感じで受け止めています。
そして、スコアが2倍くらい違うと、「買い替えて良かった!!」と満足出来るぐらい性能が上がっているという感覚になります。
なお、当DTM教室がDTM初心者におすすめしているMacは、MacBook Pro 13inch Mid 2012(Retina非搭載)になりますが、私の現状のメインマシンMacBook Pro 17inch Earlyと比較すると、約67%ぐらい性能がダウンしているということになります。
でも…、当DTM教室でお教えしていて、初めてDTMを始めたり、作曲を始めたDTM初心者の方がいきなり52トラックも使い、エフェクトを90個以上使われたファイルをお持ち込みになることはありません。
また、既に楽器経験が豊富で、作曲経験もある方で、初めてDTM/DAWソフトを使うという場合でも、ここまでのトラック数やエフェクトを使うことも見たことがありません。
こんな単純な計算が成り立つわけがないにしても、52トラックの67%で約34トラック。
エフェクト90個の67%で約60個ですから、MacBook Pro 13inch Mid 2012(Retina非搭載)は、初めてDTM/DAWソフトに触れる方にとっても余裕の性能だと考えても差し支えないと思います。
さて、今回は、MacBook Pro 17inch Earlyでどれだけソフトシンセやプラグインエフェクトが使えるのか…という話題や、ベンチマークスコアを参考にしながら、本記事執筆時点での現行品でかつ、低価格帯のMacの性能を比較してみました。
どうぞ、Mac購入のご参考になれば幸いです。