プロクオリティのボーカルトラック作り大公開
1.ピッチ(音程)修正/Melodyne Auto-Tune
Auto-Tune 7 設定例 / Melodyneで直したあと、場合によって使うことがある |
なお、CubaseではPitch CorrectというAuto-Tuneに相当するピッチ(音程)修正プラグインが付属していますので、CubaseユーザーはAuto-Tuneを買わなくても、Auto-Tuneと同じことが出来ます。
しかも、Auto-Tuneよりもナチュラルにかかるので、楽曲によって私は使い分けています。
2.コンプ1回目/T-RackS Black 76 Limiting Amplifier
T-RackS Black 76 Limiting Amplifierの設定例 / ゲインリダクション5dbを目安に |
プロのレコーディングでは、コンプとEQをあらかじめかけておいて、あとのミックス・ダウンで処理しやすい音でレコーディングしておくという考え方があります。
しかし、私はレコーディングのときにエフェクトかけ録りをしない派です。
レコーディング時、ボーカリストのモニターにはコンプとリバーブをかけた音を送っている(ボーカリストによっては、リバーブを嫌う方もいるので、まちまちですが)のですが、録り音自体は、本当の素の音を押さえておいて、あとでじっくり考えるほうが好きなのです。
ただ、マイクプリだけは、オーディオ・インターフェースのものではなくて、Vintech Audio Dual 72というものを通しています…ここら辺は好みですね。
さて、そうやって、歌ったまんまのボーカルトラック。
これをオケに単純に混ぜると、音量のバラつきが激しく、ある部分では聴こえて、ある部分では聴こえにくいということが起きてしまうので、コンプで軽くレベルを抑えます。
使ったのは、銘機UREI 1176をシミュレートしたT-RackS Black 76 Limiting Amplifierです。
UREI 1176をシミュレートしたプラグインエフェクトはたくさんありますが、たまたまキャンペーンで付いてきたT-RackS Black 76 Limiting Amplifierのドライブ感が気に入ってしまい、よく使っています。
でも、どっぷりかけると、結構歪んできますので、本当に軽く…です。
また、レコーディング時にかけ録りしていないコンプを最初にかけておく…という意図もあります。
なお、このコンプは、Pro Toolsユーザーですと、BF76というものが初期が付属していますので、使うことが出来ます。
Cubaseユーザーは、Vintage Compressorがこの1176の効果を真似たもののように感じます。
3.EQ/Waves REQ-4
Waves REQ 4の設定例 基本に忠実といった感じです。500Hzにこもりを感じたので少しカットしました |
逆に、コンプで音量を整えておかないと、EQポイントが正確に把握しづらいというのもあります。
私は、一時期ビンテージシミュレート系のEQに凝って、あれこれかけていましたが、結局Waves REQ-4に戻ってきています。
Pro Toolsを除いて、LogicもCubaseも、付属してくるEQはよく出来ているのですが、Waves REQ-4は変にEQくさくならないし、派手な効果というより、着実に欲しいところをブースト、いらないところをカット出来るので、主にハイのニュアンスをナチュラルに仕上げたい楽器には何にでも好きで使っています。
Waves REQは、2バンド版のREQ-2と6バンド版のREQ-6もありますが、2バンドでは、ローカット、ハイカットするぐらいにしか使えないし、REQ-6で6バンドも使って思った音にならないのは、そもそも録り音に問題アリという考えの下、標準的な4バンドのREQ-4しか使っていません。
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4.Waves RVoxにムリが来ないように使うWaves Vocal Rider
Waves Vocal Riderの設定例 音量が下がりがちなAメロに合わせてセッティング |
5.まさに魔法!?Waves RVoxでボーカルの音圧稼ぎ
ボーカルの音圧上げに魔法のような効果 Waves RVox ただし、かけ過ぎるとやはりクリアではなくなるので、控えめに |
とにかくボーカルの音圧上げに効果テキメンなのが、Waves RVox。
エンジニア志望の方はWaves RVoxに頼りすぎてはいけないとサンレコにレビューされていましたが、そうも言いたくなるくらいカンタンな使い方…スレッショルドを下げるだけ。
しかし、これはWavesのマキシマイザー、Lシリーズにも言えることですが、やりすぎはいけないのです。
RVoxはわかりやすく音圧が上がりますが、深くかけていくと、どうしても歪っぽくなるし、個人的にはローミッドが持ち上がってくる印象があり、ヌケが悪くなります。
でも、時間がないときは頼りたいわけです。というか、音楽制作を生業にしている場合、やはり時間をかけることより、結果を出さないといけないわけですから…。
実際、私があるメジャーアーティストのプリプロアレンジをしたときに、エンジニアさんから送られてきたPro ToolsのデータにもRVoxは使われていました。
そこで、Waves RVoxの魔法のようなパワーをうまく引き出すためにT-RackS Black 76 Limiting AmplifierとWaves Vocal Riderで、ある程度音量を整えておくという工夫をしておくのです。
音圧稼ぎをする上では、マキシマイザー系のエフェクトに全部丸投げするのではなく、マキシマイザーの働きをサポートするエフェクトを使っておくというのが、クリアな音を作るミックステクニックのひとつです。
なお、こんな魔法のようなプラグインエフェクトは、残念ながらどのDTM/DAWソフトにも付属してきませんが、ボーカロイドだと、普通のコンプでは叩ききれないくらい音量がブレる傾向があるので、レッスンでは、RVoxの役割をDTM/DAWソフト付属のマキシマイザーで代用することをおすすめしています。
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6.空間系エフェクト
Cubase付属のMonoDelay設定例 ディレイは多機能な市販プラグインエフェクトより、DTM/DAWソフト付属のシンプルなディレイが好き |
Waves IR-L / サンプリングリバーブ設定例 サンプリングリバーブは生楽器系に最適で、ボーカルには定番のプレートリバーブを |
まず、空間系エフェクトとは、主にリバーブとディレイのことを言います。
ディレイは、アレンジの手法として、元のフレーズを変えるような使い方もありますが、今回はミックスダウンの中で使うディレイセッティングです。
8分音符のディレイか付点8分音符のディレイが定番だと思いますが、私はボーカルには付点8分音符のディレイを使うのが好きです。
さらに、リバーブ。
ボーカルには、奥に引っ込まず、明るいキャラクターのプレートリバーブが最適というのが定番です。
最近では、別売りで10万円とかしたサンプリングリバーブも、DTM/DAWソフトに付属しますね。
Cubaseだと、REVerenceというものです。
Logicですと、Space Designerというもの。
Pro Toolsにはサンプリングリバーブは付属しませんが、D-Verbが結構普通に使えますので、不足は感じません。
以上、プロに愛用されているハイエンドな市販プラグインエフェクトばかりの紹介となってしまいましたが、ここで紹介したボーカルエフェクトはすべておすすめです。
初心者から脱出したい方は、ぜひ購入を検討してみてはいかがでしょうか?
また、ボーカルにエフェクトをかけていく手順、どんなエフェクトをかけるのか…といった点でも、ご参考になれば幸いです。