11/3に発注、1ヶ月半も待ってようやく届いたM1 Max MacBook Pro。

12/14〜21に到着予定でしたが、私の場合、12/21 午前中に手にすることが出来ました。

普段から使っているDTM(DAW)からオーディオインターフェースのドライバー、ソフト音源、プラグインエフェクトも一通りインストールして、実戦投入するに至りましたので、記事にしてみたいと思います。

結論:M1 Max MacBook Proは普通にDTMに使える

動画制作ユーザーやグラフィック制作ユーザーに比べ、ユーザー数が少ないDTMなだけに、他のクリエイティブ系に比べ、どうしてもAppleシリコンへの対応が遅くなりがちで、本記事公開時点でもM1などAppleシリコンにネイティブで対応しているDTM(DAW)ソフトやオーディオインターフェース、ソフト音源、プラグインエフェクトは多くはありません。

そのため、Rosetta2を介して動かすものが多くなるわけですが、このRosetta2がよく出来ています。

公式でRosetta2の対応を謳っていないものもあっさり動いており、こんなにスムーズにIntel→M1 Maxへの移行が済んでしまうのには驚きました。

私がM1 Max MacBook Proで動作を確認したものは本記事の最後に公開しますので、ご参考になれば幸いです。

私が買ったM1 Max MacBook Proのスペック

  • 14インチMacBook Pro スペースグレイ
  • 2TB SSD
  • 64GBユニファイドメモリ
  • M1 Max GPU32コア

MacBook Pro 2021で一番注目したのは、14inchでも16inchの性能が扱えるという点です。

15inchや今やディスコンとなっている17inchなど、一応持ち運べるがデカくて重いMacBook Proをスペックのために買わざるを得なかった状態が改善されたのが個人的に嬉しい点。

MacBook Pro 2021 16inchのハイパフォーマンスモードの話が出てきた時は、「やっぱり16inchじゃなきゃダメか!?」と思いましたが、その効果はそれほど大きくないことが明らかなのであれば、私は14inch一択でした。

個人的には、16inchでもディスプレイは普段使っている4Kディスプレイに比べたら小さいので、それより気軽に持ち運べるメインマシンという点を重視したわけです。

また、14inchの方が価格が下がるのも良い点ですよね。

MacBook Pro 2018 Core i9モデルから買い替えてみて思うこと

Touch Bar付きのMacBook ProはAppleの失敗作感が否めない…

私がM1 Max MacBook Proを購入する前に使用していたのはMacBook Pro 2018 Core i9 2.9GHz 6Core 15inchです。

このMac、熱問題、サーマルスロットリングが話題になってしまったMacで、確かに4K ディスプレイを繋げて普通に起動するだけでしばらくすれば高負荷作業をしていなくてもファンがガンガン回ってしまいます。

しかし、MacBook Pro 2018 Core i9 2.9GHz 6Core 15inchはMacBook系で初めて32GBメモリが積めたMacでしたので、個人的には気に入って使っておりました。

実運用上も、4K動画の書き出しのような長時間負荷をかけ続けるシーンはDTMではほとんどありませんので、熱問題が起因するような性能低下を実感することはありませんでした。

ただ、M1 Max MacBook Proを使ってしまうと改めて思うのは、Touch Bar付きのMacBook ProはAppleの失敗作感があったのかな…と言わざるを得ません。

当時話題になったMacBook Pro 2018のサーマルスロットリングの影響に関する記事

Touch Barについては個人的にはポジティブ

なお、ネット上で批判に晒されたTouch Barについては、そもそもキーボードとディスプレイを外付けでつないで、MacBook Proを持ち運べるデスクトップ状態で使っていたため、個人的には「未来感があってカッコイイ」くらいに能天気に思っていました。

また、DTM用途ではトランスポート系ショートカットがテンキーに割り当てられていることが多いため、MacBook系のテンキーなしのキーボードでは作業効率が下がってしまう…というのもあります。

そのため、トランスポート系ショートカットがテンキーに割り当てられているDTMソフトを使っているMacユーザーから見れば、ファンクションキーが物理的にあるかないか以前の問題とぶつかっていたので、Touch Barがどうのこうの問題は気にならないというのが正直なところでした。

テンキーにトランスポート系ショートカットが集まるCubase。
Windows,Mac両方に対応するDTMソフトはテンキーの使用が前提になっているものが多い。

M1 Max MacBook Proの利点

わかりやすく体感できるCPUの性能アップ

私が2010年代から現在に至るまでDTM用途に使ってきたメインマシン達のGeekbenchベンチマーク
M1 Maxの進化は途方もないことがわかるし、実際体感することが出来る

M1 Max MacBook Proに買い替えて良かったと思うのは、わかりやすく体感できるCPUの性能アップだと思います。

10年以上前は、3年ごとにメインマシンを買い替えれば、CPUの性能は倍以上になっているのが当たり前でした。

私は今でもApple Careとリセールバリューを意識して3年ごとにメインマシンを買い替えるサイクルを継続していますが、ここ数年は良くて1.5倍。

これを体感で言うならば、iZotope Ozoneや、オーバーサンプリングを使うようなプラグインエフェクトを使うと、ブチブチ途切れて使い物にならないという状況が、使っても何とか大丈夫になったという程度のもの。

新しいMacを購入することは、Apple好きという側面においては楽しいのですが、生産性の向上というシビアな見方をすると「わざわざ買い替える必要なくない?」と問われたら返す言葉もない…なんていう感じでした。

ところが、M1 Max MacBook Proはそれを覆しました。

主にCPUの性能を見ることが出来るGeekbenchの結果を見ても、MacBook Pro 2018 Core i9 2.9GHz 6Core 15inchとM1 Max MacBook Proのスコアは2倍以上の開き。

体感で言うと、インストルメントトラックやオーディオトラック、エフェクト(FX)トラック、グループトラック、VCAトラック全部で91トラックが走るプロジェクトをバッファーサイズ128でレーテンシーを凄く詰めた状態でも途切れない。

おまけに、Rosetta 2で動くとも公式にアナウンスされていないBFD3など、M1等Appleシリコン非対応(と思われる)ソフト音源やプラグインエフェクトが使われたプロジェクトにも関わらず…です。

Cubaseのパフォーマンスメーター
諸々91トラックが走るプロジェクトでバッファーサイズ128でもこの余裕さ

さらに、Fabfilter Pro-L2のOverSamplingですが、MacBook Pro 2018 Core i9 2.9GHz 6Core 15inchでは軽めのプロジェクトで16xが使えるか使えないかだったのが、M1 Max MacBook Proでは重めのプロジェクトでも32xが試せるようになってしまいました。

Fabfilter Pro-L2のオーバーサンプリング
上げれば上げるほどわかりやすく音は良くなるがCPU負荷が高過ぎてMacBook Pro 2018では常用出来なかったが、M1 Max MacBook Proでは余裕で試せる

私は、ついM1 Max GPU 32 Coreを買ってしまいましたが、CPUの面ではM1 Proと変わりはほぼないと思われるので、M1 Proでも10Core CPUモデルならば、私が体験したパフォーマンスに近い性能をご体感いただけるのではないかと予想出来ます。

ファンが回らず静か

その上、既にYoutuberさんなどのレビューで見られるように、ファンが回ったことがない…。

私自身、ファンノイズについてはMacBook Proを使っている自宅で歌録りをすることはほぼない(マイク録音は主にMac mini 2018を使っている仕事場でする)ので気にしていませんでしたが、やっぱりMacが静かだとこんなに快適なものかと改めて思うのでした。

M1 Max 32コアGPU 64GBユニファイドメモリはDTM用途に必要だったのか?

今回私が購入したのはM1 Max 32コアGPU 64GBメモリ ストレージは2TBのMacBook Pro 14inchで、ストレージ以外はフルカスタマイズしたもの。

性能的にはUltimateモデルと呼んで良いMacBook Pro 14inchを使ってみて思ったのは、DTM用途にはオーバースペックと思いました。

というのも注文したのは11/3ということもあり、手元に届くまで1ヶ月半以上も間も空けば、先行してMacBook ProのUltimateモデルを手に入れているYoutuberさんのレビューなんかも見ることになりました。

結果、動画制作でこれだけ生産性の向上が見られていれば、DTMでは…と予想出来るわけで、案の定、実際に使ってみたら余裕過ぎるわけです。

64GBメモリは余裕あり過ぎる!?

特にメモリも初めて64GBにしてみたのですが、今までなんかよりもmacOSが贅沢にメモリを使うようになったように見え、あっという間に20GBもキャッシュしています。

ブラウザ等で事務作業した後に15GBくらいメモリを消費するCubaseのプロジェクトを立ち上げたときのメモリ使用量。キャッシュされたファイルがとても多い…。

キャッシュはMacの動作を高速化する仕組みではありますが、DTMソフトの類はどれだけMac自身のスペックが上がってもブラウザとかに比べれば起動時間はそこそこかかる感じなので、そこまでキャッシュでメモリを贅沢に使わなくても…今まで32GBで間に合っていたしな…というのが感想。

ただ、当教室の個人レッスンには、レッスンの復習のために動画撮影を行うサービスを行なっており、そちらの書き出しはCPU内蔵GPUとなるMac mini 2018と比較すると、3倍強のスピードで書き出しが出来たので、一応ここまでスペックを盛った恩恵は体感出来ているのかなと思います。

しかし、私は動画制作が本職ではありませんので、恐らく2022年中に仕事場のMac mini 2018もAppleシリコンMacに更新することになると思いますが、ここまで盛り盛りのカスタマイズはせずM1 ProかM1 Maxの最廉価を購入するだろうな…と思っています。

次のページでは私がM1 Max MacBook Pro 14inchで動作を確認したDTM,ソフト音源,プラグインエフェクトをご紹介します。

1 2