2024年10月30日、噂通り小型化されたMac mini M4が発表されました。これまでコスパの高いモデルとしてDTM初心者や当教室受講者様におすすめしてきたMac miniですが、今回のM4モデルはどのように変化し、DTMプロユースに適しているか検討していきます。

M4チップの進化とプロユースとしてのポテンシャル

プロユースを考えると、基本モデルのM4よりも、M4 Proモデルの方が候補に挙がります。もちろんM4でも十分な性能ですが、M1やM2、M3から乗り換えるユーザーにとっては、さらなるスペック向上がなければ大きなメリットが感じられないでしょう。なお、M4のベンチマークスコアは15288で、M1 Max 10コアCPUに比べて約20%の速度向上が見込めます。しかし、過去の経験上、この20%のアップでは体感として大きな差を感じにくく、劇的な向上とはいかないのではと個人的には考えています。

Mac mini M4 ProMac Studio M1 Max
GeekbenchスコアM4で15288
M4 Proならば17000は狙えるか
※リークでは22000を超えるスコアとのこと
12625
メモリ48GB狙い32GB
CPUコア数14コア10コア
GPUコア数20コア24コア
検討候補のM4 Pro Mac miniと現在使用中のMac Studioのスペック比較

メモリマネジメントの改善が与える影響

特筆すべきは、Apple Siliconシリーズの中でM3チップからメモリマネジメントが改善されている点です。私自身、M1 Max Mac Studioとは別にM1 Max MacBook Proを使用していますが、64GBメモリがあっても無駄にメモリを消費することが多く、DTM用途で特別快適とまでいかず、32GBメモリのMac Studioとの大きな差を感じませんでした。一方、サブ機として使用しているM3チップのMacBook Airは、16GBメモリでもSibeliusを使った譜面作成作業やDavinci Resolveを使った動画編集において快適さを維持しています。このメモリ管理の向上がM4にも受け継がれているならば、DTM用途でも安定性が増し、作業スピードが向上するでしょう。

M1 Max MacBook Pro 64GBメモリは簡単な作業しているだけで32GBメモリを使用している
M1 Max MacBook Pro 64GBメモリは簡単な作業しているだけで32GBメモリを使用している

拡張性とポートの問題点

Mac mini M4は筐体が小さくなりながらも、Thunderbolt5ポート×3、USB-C×2、LAN、HDMIと、一般的な用途に対応した十分なポートを備えています。しかし、私のように多くのデバイスを常時接続する場合、Mac Studioの豊富な拡張性に頼らざるを得ません。外部デバイスが多い環境では、Mac miniのポート数だけでは足りず、Thunderbolt Dockなどの周辺機器が必要になる点がネックです。

Thunderbolt5って何?

Thunderbolt 5はThunderbolt 4と比べて帯域幅が2倍の80Gbps、Boost時に最大120Gbpsの転送速度を実現。ディスプレイでは4K144Hzの3台または8K60Hz対応、電力供給も240Wまで可能です。ただし、DTMの制作環境においては現状では大きなメリットにはならなさそうです。

コストパフォーマンスの検証

M4 Mac miniは94,800円からと、カジュアルDTMerには嬉しい価格設定ですが、実用的なDTM環境を構築するなら16GBメモリ、512GBストレージの124,800円モデルが現実的です。この価格なら、カスタマイズ次第で20万円を切る予算内で満足のいく性能が手に入るため、DTM初心者である多くの受講者様にもおすすめしやすい一台と言えるでしょう。

ただし、プロユースを考えると30万円以上の投資が必要で、以前私が購入したM1 Max Mac Studioの購入価格との差は小さくなります。Mac miniとしては十分な性能ですが、将来M4 Max搭載のMac Studioが発表されるなら、よりコストとスペックのバランスが良い可能性もあります。現行のMac StudioにはM3モデルも未発表なことを考えると、AppleがMac miniで性能向上を図り、Mac Studioの新モデルは出さない可能性もあるため、悩ましいところです。

結論:カジュアルDTMerにはM4 Mac miniが最適、プロユースには慎重な検討を

M4 Mac miniは、20万円以下の予算で購入してもDTMに十分な性能を備えているため、ラップトップではなくデスクトップでも良いカジュアルなDTMerにとって、非常にコストパフォーマンスの良い選択肢です。

また、DTM用途ではあまり重視しませんが、一般的な用途としては2025年春に日本語で使えるようになるApple Inteligenceに合わせた設計になっていることも魅力的です。

一方で、プロユースの方は少し注意が必要です。特に、すでにM1以降のMacをお使いの方にとっては、M4の性能だけでは買い替えのメリットが大きくないかもしれません。今後のMac Studioシリーズの展開も考えながら、自分の作業環境や使い方に合った選択をすることを引き続き検討していくことになると思います。