新しいM4シリーズのMac Studioが登場しました。特にM4 Maxチップを搭載したMac Studioは、高い処理性能を持ちつつ、拡張性にも優れたプロ仕様のマシンとして注目を集めています。一方で、同じM4世代のMac miniも「Pro」チップを選べば十分なパフォーマンスを発揮し、コストパフォーマンスにも優れています。では、DTM用途ではどちらを選ぶべきなのでしょうか?

ここでは、現行のM1 Max Mac Studioユーザーが次のマシンに乗り換えることを想定して、M4 Max Mac StudioとM4 Pro Mac miniそれぞれのメリット・デメリットを整理してみたいと思います。

M4 Max Mac Studioの概要

Mac Studio (M4 Max)

CPU: 最大16コア(高性能コア12+高効率コア4)

GPU: 最大40コア

メモリ帯域幅: 546GB/s

最大メモリ: 最大128GB

拡張性: 前面・背面に豊富なポート、Thunderboltポートも複数搭載

想定ユーザー: 映像編集や3Dレンダリング、大量の同時トラックを扱うDTMなど、高負荷のプロフェッショナル作業

M4 Max 14コアCPUと16コアCPUの違い

項目14コアCPU (M4 Max)16コアCPU (M4 Max)
シングルコア性能 (Geekbench 6)約3901約3942
マルチコア性能 (Geekbench 6)約22420約25258
CPU構成高性能コア10 + 高効率コア4高性能コア12 + 高効率コア4
GPU構成最大32コアGPU最大40コアGPU
メモリ帯域幅410GB/s546GB/s

• シングルコア性能はほぼ同等ですが、マルチコア性能では16コアの方が約12.6%高い

• DTMや動画編集のように並列処理を多用する場合、コア数が多いほど余裕が生まれやすいです。

M4 Pro Mac miniとの比較

Mac mini (M4 Pro)

CPU: 最大14コア(高性能コア10+高効率コア4)

GPU: 最大20コア

メモリ帯域幅: 273GB/s

最大メモリ: 最大48GB~64GB程度(※製品仕様がどうなるか要確認)

価格: ベースモデルでも手が届きやすく、構成を抑えればコスパ良好

拡張性: Thunderboltポートはあるが、Studioほど多くないため、必要に応じてThunderbolt 4 Dockなどの外部拡張が必須になる

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Thunderbolt 4 Dockを使用することでMac miniの拡張の低さをカバーすることができるが、価格は2.5〜5万円なので、Mac miniのコスパを活かしにくい。

M4 Pro (14コア) vs. M4 Max (16コア)

項目M4 Pro (14コア)M4 Max (16コア)
シングルコア性能 (Geekbench 6)約3900約3942
マルチコア性能 (Geekbench 6)約20000約25258
GPU構成最大20コアGPU最大40コアGPU
メモリ帯域幅273GB/s546GB/s

マルチコア性能はM4 Maxの方が高いため、CPU/GPU負荷の高いプロ用途でアドバンテージがある

Mac miniの強みは「価格の安さ」と「コンパクトさ」。しかしポート数が少ないため、複数台のオーディオインターフェイスや外部ストレージを同時に使いたい場合は拡張ドックが必須

M4 MaxとM1 Maxの性能差

現在、M1 Max Mac Studioを使っている立場として気になるのが、「M4 Maxにどれくらい乗り換えメリットがあるか」。ベンチマークをざっと見るだけでも以下の通り、大幅な性能向上が確認されています。

項目M1 MaxM4 Max (16コア)
シングルコア性能 (Geekbench 6)約1800約3942
マルチコア性能 (Geekbench 6)約12000約25258
GPU構成最大32コアGPU最大40コアGPU
メモリ帯域幅400GB/s546GB/s

CPU性能: シングルコアで約2.2倍、マルチコアで約2.1倍の性能向上

GPU性能: 最大コア数が32→40になり、Metalスコアでも約1.9倍という結果

プロセス技術: 5nm→第2世代3nmへ移行し、高効率&高性能化が大きく進んでいる

M1 Maxでも十分高速とはいえ、M4 Maxの進化幅は無視できないレベルです。特にDTMでプラグインを多数使うトラックを立ち上げるような使い方では、CPUコア数とメモリ帯域幅の強化が大きく効果を発揮しそうです。

結論:どっちを選ぶ?

1. 「拡張性が欲しい、最高性能も重視」ならM4 Max Mac Studio

• 14コアCPUモデル(メモリ36GB/1TB)と、同等構成のM4 Pro Mac mini (14コアCPU, 48GBメモリ/1TB)を比較すると、「価格差がほぼ変わらない」。ポートが豊富でメモリ帯域幅の余裕もあるMac Studioに軍配

• どうせMac Studioを選ぶなら16コアCPU + 48GB以上のメモリ構成で性能向上を狙うほうが満足感が高い

2. 「コストを抑えて十分な性能が欲しい」ならM4 Pro Mac mini

• DTM用途なら12コアCPUモデルでもかなり高いパフォーマンスを得られる

• ただし、ポートが少ないので外部機器が多い人はThunderbolt 4 Dockが必要

• コンパクトで机上スペースを取りづらいメリットは大きい

3. M1 Max Mac Studioからの乗り換え判断

• M4 Maxはシングルで約2.2倍、マルチで約2.1倍という大幅な性能向上。DTMや映像編集など高負荷作業を頻繁にこなす人にとっては、乗り換えメリット大

• M1 Maxでも不満がない方は、次世代モデル(M5?)まで待っても良いかもしれません

まとめ

M4 Pro Mac mini (14コア/20コアGPU) は価格やコンパクトさ重視の方に最適。DTMや動画編集もある程度こなせるパフォーマンスがある

• 一方、M4 Max Mac Studio (16コア/40コアGPU) はさらなる高性能・拡張性を求めるプロフェッショナル向けに大きなアドバンテージがある

価格差がほぼ同等なら拡張性と性能に余裕のあるMac Studioを選ぶ価値は高い

• Mac miniを選ぶなら12コアCPUモデルでコスパ重視、Mac Studioを選ぶなら16コア&メモリ48GB以上を推奨

もし既にM1 Max Mac Studioを使っていてパフォーマンスに限界を感じているなら、M4 Maxへの乗り換えは間違いなく大きな恩恵を得られます。DTMでプラグインを多用する人や、同時に大容量のサンプルライブラリを読み込む方はCPUとメモリ帯域幅の向上を体感しやすいはずです。拡張ポートの数も十分に確保されているため、周辺機器の接続も安心です。

今後さらにプラグインが高機能化・多様化していくことを考えると、より余裕のあるスペックを選んでおくと安心でしょう。とはいえ価格とのバランスは人それぞれですので、使用用途と予算を天秤にかけながら最適解を探してみてください。

本記事が皆様のご参考になれば幸いです。

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