やはりDTM/DAWに強いMac

CoreMIDI設定画面

DTM/DAWソフトウェアを使うパソコンとして、Macを選ぶという選択は、安定した音楽制作環境作りを考えた場合、間違いがない選択肢と言えると考えています。

WindowsにはないMacをDTM/DAW用途に使う最大のメリットは、Macの基本ソフトであるMac OSが、音楽制作で使うことを想定して作られていることにあります。

例えば、DTM/DAWソフトウェアと組み合わせて使うオーディオインターフェイスやMIDIインターフェイスがストレスなく使えるように考えられたCore AudioとCore MIDIという規格(機能)があるということ自体、Windowsとの大きな違いです。

というのも、Macを開発製造しているApple社自身が、Logicというプロでも愛用者が多いDTM/DAWソフトウェアを開発しているということが、まさに、音楽制作を意識しているという何よりもの証拠でしょう。

Core AudioとCore MIDIは、MacをDTM/DAW用途に使う場合、様々な設定でお世話になります。

なおかつ、Core MIDIについては、グラフィカルにMIDIインターフェイスと外部周辺機器を表示してくれるため、初心者にもとっつきやすいものになっています。

昔から、DTM/DAWソフトウェアを使った音楽制作をやるならMacという定説があり、音楽制作のみならず、デザインや映像に写真など、クリエイティブな作業に最適化されたパソコンというブランドイメージは、本物だと思います。

Macの製品ラインナップ

Macは、Windowsと違って、Apple社のみが製造販売しているパソコンのため、Windowsと比べると、製品ラインナップは6種類しかありません。

デスクトップパソコン
Mac mini,iMac,Mac Pro
ノートパソコン
MacBook Air,MacBook Pro(MacBookはなくなりました)
サーバー
Mac mini server,Mac Pro server

ちなみに、サーバー用のMac mini serverとMac Pro serverは、DTM/DAW用途に限らず、一般的なパソコンと用途が違いますので、関係ないもの思っていただいて構いません。

さらに、サーバー製品を除くMacの製品ラインナップで、こういった分け方も出来ます。

モバイル向けMac
MacBook Air
入門者向けMac
Mac mini,MacBook Pro(13インチ),iMac(21.5インチ)
プロ向けMac
iMac(27インチ),MacBook Pro(15,17インチ),Mac Pro(8core,12coreモデル以上)

Macは、プロ向けなのか、初心者や一般向けなのかなど、コンセプトがはっきりした製品ラインナップとなっています。
しかし、Macもかなり性能が上がってきたため、色々入り組んできている感があります。

初めてのMac…どれを買えば良い?

意外と使えるMacBook Air…ただし、11inchモデルはあくまでモバイル向き

まず、手軽にDTM/DAWを始めたいという初心者で、人気のノート型Macが欲しいという場合、MacBook Airが比較的安価ですし、候補となります。

2010年発売モデルまでは、DTM/DAW用途には難しいかと思われたMacBook Airですが、2011年発売のMacBook Airには第二世代Core iシリーズ(Sandy Bridgeと呼ばれています)、2012年発売のMacBook Airには第三世代Core iシリーズ(Ivy Bridge)がCPUに採用されており、これが結構な性能を発揮します。

DTM/DAWに初めて触れるといった初心者や入門者には、十分な性能と言えるでしょう。

しかしながら、MacBook Airにも弱点はあります。

それは、MacBook Airは、DTM/DAWソフトウェアをただ動かすぐらいならば何も問題はないものの、
プロが使うような市販のソフトウェアシンセやプラグインエフェクトを扱うには、少々制約が伴うからです。

MacBook Airの場合、DTM/DAWソフトウェアのインストールに必要なCD/DVDドライブが内蔵されていませんので、これは外付けとなります。

また、長い目で見たときには、メモリは出来れば8GBは積まないと、このご時世何かとメモリ不足に陥りますので、こちらも必須と考えるべきでしょう。
(MacBook Airは後からメモリを増設出来ないので、購入時にCTOで増設する必要があります)

また、MacBook Airの場合は、ハードディスクの代わりに高速なSSDが搭載されており、これがMacBook Airの快適さを支えているわけですが、
容量が心もとないので、その対策として、外付けハードディスクの使用が必須になってきます。

しかしながら、コンパクトであるがゆえ、USB端子のみの搭載となり、Macを使うプロユーザーに信頼性が高いとして使われているFireWire端子がありません。

新規格であるThunderbolt端子をFireWire端子に変換するケーブルがApple純正品として発売されたため、現在では問題ないとも言えますが、正直初心者向きの話なのかという気もしますので、当教室では、手放しにMacBook Airをオススメはしていません。

とにかく軽くて持ち運びも苦ではないノート型Macが欲しいわけでなければ、MacBook Proの方が良いと考えています。

なお、MacBook Airには11inchモデルと13inchモデルが発売されていますが、どちらがDTM/DAW向きかと申しますと、13inchだと思います。

最近のDTM/DAWソフトウェアは、それなりの大きさのディスプレイを使うことを想定して設計されていますので、11inchは横幅はそこそこなものの、縦幅が狭く、メインで使うにはストレスが溜まりそうです。

それに比べて13inchは、一般的な15inchサイズのノートPCのディスプレイと同等の性能のものを搭載しているため、13inchの方が間違いなく買いです。

省スペースながら性能もそこそこ…Mac mini

Mac miniは、安価で省スペース、大変魅力的なMacと言えるでしょう。

2013年3月現在、現行のMac miniは、廉価版というイメージは完全に払拭されるくらいまで性能や拡張性を持つ「使えるMac」になっています。

「プロスペックか?」というと厳しいものがあるかと思いますが、初心者の方には十分な性能です。

ただし、デメリットもあります。

それは、DTM/DAWソフトウェアのインストールや音楽CD制作に必須のCD/DVDドライブが省かれているという点です。

また、ディスプレイやキーボード、マウスも省かれているため、一見安いと見えても、全部一から揃えるとなると、それほどお買い得感はないかもしれません。

性能もDTM/DAW用途として使ってもかなり良いところまで来ていると思いますが、デメリットもiMacなどと比べても多いため
万人にとって「買い」であるMacではありませんが、「意外と使えるレベル」という印象に変わって来ているのは確かです。

Windowsで既にDTM/DAWソフトウェアを使っている方がセカンドマシンとして、お試しでMacで使ってみたいという向きには良いのではないでしょうか。

ちなみに、もし私が買うならば、2.3GHz Mac miniの方で、メモリを自分で増設して使います。
というのも…CPU性能だけで見たら、私の現状のメインマシンMacBook Pro 2011Earlyより少し上というところなので…つまり、Mac miniでも仕事出来ちゃうってことですからね。

もし、2013年中発売とされる新型Mac Proが出てくる前に、MacBook Pro 2011Earlyが突然故障したら、きっと2.3GHz Mac miniを買うでしょう。

将来を見据えた拡張性を兼ね備える初心者向きMacは、MacBook Pro13インチかiMac21.5インチモデル

2013年3月現在、現行のMacBook Pro13インチモデルとiMac21.5インチモデルは、プロスペックとは言えないが、
拡張性とDTM/DAWソフトウェアを使った音楽制作に耐えうる性能を兼ね備えており、これからDTM/DAWを始める初心者にはうってつけと思います。


MacBook Pro13インチとiMac21.5インチモデルを比較すると
iMac21.5インチはクアッドコアということもあって、iMac21.5インチに軍配が上がりますが、
ノート型Macが欲しいのか、デスクトップ型Macが欲しいのか…というところで選んで差し支えないと思います。

MacBook Pro13インチとiMac21.5インチモデルまで来ると、性能面や拡張性もあるという面を見てもDTM/DAW用途として不足のないものになります。

初心者が安心して使える…なおかつ、10万円強で購入出来るということで、コストパフォーマンスも良いと思います。

iMac27インチモデルとMacBook Pro15インチモデルはプロスペック,Retinaモデルは微妙

2013年3月現在、現行のiMac27インチモデルとMacBook Pro15インチモデルはプロスペックと呼べる性能を持っています。

これらは、少し前に販売されていたMacの最高峰モデルMac Proの性能をものによっては超えるレベルになってきていますので、ここまで来ると3〜5年は安心して付き合えるMacと考えて良いでしょう。

初心者にとっては若干オーバースペックの性能かもしれませんが、市販の大容量ソフトウェアシンセを使いたいという中級者になっても、問題なく動作します。

なお、一昔前は、ノート型Macよりデスクトップ型Macの方が性能が上というのが当たり前でしたが、
現在では、ノート型のMacBook Proでもデスクトップ型のiMacでも、ほぼ互角の性能を持ちます。


iMacを持ち運ぶのは現実的ではありませんから、じっくり自宅でDTM/DAWで音楽制作というスタイルなのか、
ライブやリハーサルで持ち運ぶことを想定したDTM/DAW音楽制作スタイルなのかで、iMacとMacBook Proを好みでお選びいただければと思います。

また、MacBook ProにはRetinaディスプレイというiPhoneやiPadに搭載されている高解像度ディスプレイを搭載したRetinaモデルもあります。

こちらは、MacBook Airの特徴とMacBook Proの特徴を併せ持つ新しいタイプのノート型Macと言えますが、DTM/DAW用途で考えると現段階では微妙な気がします。

DTM/DAW用途のMacユーザーにとって、ディスプレイの美しさはあまり関係ない…というのが正直なところ。

CD/DVDドライブを非搭載としたことで、15inchノート型Macとしては大変薄く軽いといった先進的なノート型Macと言えますが、

Retina非搭載のMacBook Proと比較するとやはり価格が高いというのもあり、

もし、Retinaモデルを購入出来る予算をお持ちだったとしても、
その資金はオーディオインターフェース等の周辺機器に充てた方がコストパフォーマンスは良いと考えています。

Mac Proは2012年8月現在買い時ではありません

Mac Proは、Macの製品ラインナップの中で、完全にプロ仕様の拡張性や耐久性を考えられたワークステーション型Macです。

初心者がいきなりMac Proを購入するとは考えられませんが、念のため取り上げますと、2012年6月にMac Proも2年弱の期間を経てようやく新型が発売されました。

しかし、これがプロユーザーの中から失望の声があちこちから上がるほどの半端なスペック…2010年に発売されたモデルと劇的に何かアップグレードしたわけではなかったのです。

この声を受けて、Apple社は2013年にMac Proを刷新するというコメントを出していますので、
インターネット上で言われていた「もうAppleは新型Mac Proを作らない」という噂は否定されたことにはなりましたが、
とにかく2013年の新型Mac Proが発売されるまで購入すべきでないでしょう。

Macのデメリット

Macは、基本的にどこで買っても価格は同じです。
一部、インターネット通販で安く買えるところもありますが、大手家電量販店なんかは間違いなくどこでも同じ。ポイント還元率も低めです。
そのため、Windowsパソコンと違って、定価販売という印象が強いのが正直なところ。

ただし、基本的に、「Macは高い」という印象が根強かったものの、近年のIntel Macは、Windowsパソコンの価格帯にだいぶ近づいてきており、ものによっては、Windowsパソコンよりも性能対費用で考えても安いと言えるものも出てきました。

そうは言っても、やはりMacのデメリットは、原則定価販売というのが挙げられると思います。