2015年8月現在DTM用Macに必要なスペックとは?

2013年に本ブログで投稿したDTM用Macの選び方記事をたくさんの方にご覧いただき、誠にありがとうございました。

この記事では、2015年8月現在のDTM用に使うMacの選び方について、Step One DTM School自由が丘教室講師の考え方を書いていきたいと思います。

【参考リンク:2017/3/31掲載 最新MacBook Pro 2016 TouchBarモデルでDTM環境構築】

これからDTMを始めるにあたってMacを選ぶということについて


DTMでWindowsを選ぶか?Macを選ぶか?という話は長年されてきていますが、何年経っても当DTM教室講師の答えは「DTM初心者であればあるほど、Mac」という意見で変わりはありません。

「Mac = トラブル時の対応は簡単なことが多いが割高」

「Windows = トラブル時の対応が難しいことが多いが安い」

簡単に言うとMacとWindowsの差は上記の一言に尽きます。

つまり、パソコンについて詳しい方ならば、Windowsの方が安いし、同じ価格帯で比べるとMacよりも基本的な性能(CPU)が上であることが多いので、Windowsの方が良いと言えます。

しかし、当DTM教室にお越しの方は、「DTM初心者=パソコン初心者」であることが多いので、いざトラブルが起きたとき、自力解決することに慣れてない方が多くを占めます。

そうなると、何が原因で問題が起きているのかわからないといったトラブルが起きにくいMacの方が、どうしてもDTM初心者にはオススメということになります。

また、いざとなったら、Apple Store実店舗にあるジーニアスバーに持ち込めば、専門スタッフが相談に乗ってくれるという点もApple製品共通の安心感だったりしますね。

DTM初心者にはMacBook Air 13inchがオススメ


さて、具体的にDTM用Macとして何を選べば良いかというお話をさせていただきます。

2015年8月現在で当DTM教室がオススメするのは、MacBook Air 13inch 256GBモデルです。

【MacBook Air 13inch 256GBをオススメする理由】

  • メリット
    • 軽くて持ち運びしやすい
    • ノート型Macの中では低価格
    • 10トラックぐらいの楽曲ならば、問題なく動く
      • 楽曲制作に不慣れなDTM及び作曲初心者向き
    • オーディオレコーディング用途ならば、問題なく動く
      • ご自身で楽器を演奏して録音し、ちょこっと打ち込みを使うというイメージならば、まったく問題ない
    • ディスプレイは15inch相当の表示が可能。DTM用途として最低ラインを守っている。
      • 近年のDTMソフトはそれなりに大きいディスプレイを使うことを想定しているので、MacBook Air 11inchでDTMはかなり厳しい。私の場合、11inchのMacBook Airは、事務用途として使っており、音楽制作で使うことは考えていません。
    • 内蔵のストレージは、256GBあれば十分楽曲制作に耐えうる
      • 128GBはメインマシンが他にある方向き
  • デメリット
    • 内蔵ストレージ256GBでは、クオリティーの高い別売りのソフトシンセを動かすのは厳しい
      • DTM初心者のステップアップにオススメのNative Instruments KOMPLETEのインストールには、130GB以上の空きが必要。
      • Logic Pro Xのインストールには、50GB以上の空きが必要
        • 上記は、外付けHDDの増設で凌げますが…
    • 標準の4GBでは、クオリティーの高い別売りのソフトシンセを動かすのは厳しい
      • サードパーティー制のソフトシンセを満足に使うためには、8GBメモリは必須。プロユーザーから見ると16GBは欲しい。
        • MacBook Airは8GBまでしかメモリ増設が出来ないし、購入時に増設して購入しなければならない
        • DTMでオーケストラを作る場合、生演奏に近いぐらいのクオリティーを作るために、サードパーティーのソフトシンセを60トラックぐらい走らせますので、私は24GBぐらいメモリが必要です

MacBook Airは、どちらかというとモバイル用途のノートパソコンで、バリバリ音楽制作をこなすため…という向きではないのは承知なのですが、DTM初心者の方からすれば十分すぎるくらいのスペックを持っています。

なお、ネックはメモリが標準で4GBなところですので、8GBに増設しても良いと思いますが、メモリが4GBだと問題となる場面というのは、別売りのソフトウェアシンセを使うようになる段階になったときだと思います。

当DTM教室にお越しの方を見ていると、DTM初心者の方が別売りのソフトウェアシンセを買うようになるのは、だいたい当DTM教室にお越しになるようになってから1〜2年後といった感じです。

というのも、「DTM初心者=作曲初心者」であることが多いため、いきなり何十個も楽器が入っている楽曲を制作されることはほとんどなく、まずはDTMソフト付属のソフトシンセを使った楽曲作りが中心となります。

MacBook Airは、DTMソフト付属のソフトシンセをいくつか鳴らすぐらいならまったく問題なく動きますので、作曲経験が浅いとお感じの方は、MacBook Airで十分と当DTM教室講師は考えます。

プロ志向の方が、将来を見越してMacを買うなら…?


プロ志向の方、将来、音楽制作を仕事にすることをお考えの方にオススメするのは、15インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル 2.2GHzプロセッサモデルまたは、27インチiMac 3.2GHzプロセッサモデルです。

【15インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル 2.2GHzプロセッサモデルについて】

  • メリット
    • CPU性能は30〜50トラック使うような一般的なプロが制作するトラック数の楽曲を十分こなせる
      • 13inch MacBook Proを選択肢から外しているのは、プロスペックと呼べるほど高性能ではない…MacBook Airでは不安を感じる方向けという印象のため
      • 15インチMacBook Pro Retina 2.5GHzモデルの方が当然性能は高いが、円安の影響による値上げのせいで30万を突破してしまう…これはコストパフォーマンスから考えるとあんまりよろしくない
    • メモリが16GBなので、バンド系アレンジの楽曲やダンストラック系の楽曲で、クオリティーの高いサードパーティーのソフトシンセを目一杯使っても、まったく問題ない
    • ノートパソコンとしてはサイズが大きい方だが、持ち運びが可能
      • 毎日持ち運ぶといった用途だとやはり大きい/重いとは思いますが…
  • デメリット
    • iMacより若干性能が落ちるのにも関わらず、価格が高い
      • iMacの性能からざっくりとですが、約5〜10%ほど落ちる
    • Retinaディスプレイは非常に表示がキレイですが、音楽用途にはあまり関係ない
    • メモリが16GBなので、クオリティーの高いサードパーティーのソフトシンセを使ってオーケストレーションするとなると、ちょっとメモリが足りない
      • 私の場合、オーケストレーションをする際に使いたいソフトシンセを全部立ち上げると、24GBくらいメモリが必要です。
    • 夏場等、気温が高い時期は、パソコンの熱で性能が下がることも…。
      • 私は上記が気になり、メインマシンをノートにするのはやめました。

【27インチiMac 3.2GHzプロセッサモデルについて】

  • メリット
    • CPU性能は30〜50トラック使うような一般的なプロが制作するトラック数の楽曲を十分こなせる
      • iMacもRetinaディスプレイモデルがあり、そちらの方が性能が高いのですが、ディスプレイが5Kサイズと、音楽制作にそのような高性能ディスプレイは必要ないため、コストパフォーマンスがあまり良くない
    • メモリが後から増設可能で、しかも、32GBまで積める
      • 私のメインマシンは、iMacで32GBメモリを積んでいますが、現状32GBを使い切ることはありません。十分すぎるくらいの拡張性です。
    • MacBook Proより性能が上なのに安い。
  • デメリット
    • 持ち運びはまず不可
      • スタジオに持ち込んで録音なんてことは現実的ではない
      • 車を持っている方からすれば、運ぶこと自体は問題ないと思いますが、持ち運び用のケースが売られているわけではないので、結局、元箱に入れて運ぶことになります。これが非常に億劫です…。
    • ストレージが、標準だとHDDなので、電源を入れてから起動して使えるまでの時間が長かったり、DTMソフトが立ち上がるまでの時間が長い
      • MacBook ProやMacBook Airは、フラッシュストレージなので、とても早いです。〆切間際にDTMソフトが落ちたなんてときに、起動時間が長いHDDだと結構ストレスが溜まります。
      • 上記は、Fusion Driveに変更するとまったく問題なくなります。私の場合、Fusion Driveモデルなので、その点、ストレスはありません。
一般的にプロに求められるデモ音源のクオリティーは、既にあちこちで言われている通り、これだけDTMが普及した現在、そのまんま世に出せるクオリティーを求められる場面が多いです。
もちろん、楽曲コンペでは、簡素なデモで決まることもあるのですが、やっぱりCDの売上が落ちている今日この頃、余程大当たりでもしない限り、作曲印税だけでは厳しいのが正直なところでして、音楽を仕事にするということを考えた場合は、「そのまんまクライアントに使っていただけるクオリティー=アレンジャークオリティー」が作り出せるにこしたことはありません。
また、私の専門は劇伴ではないのですが、たまに、ドラマの音楽などのお仕事もやっており、こちらに関しては、作曲〜アレンジ〜レコーディング〜ミックスまで全部自分でやって、そのまま納品というケースが多いです。
なお、上記は職業作家目線で考えた場合ですが、アーティストとしてインディーズ活動していきたいと考えている方に関しても、「自分で人に聴かせられるデモ音源なり作品を作りたい」というご希望が当DTM教室によく寄せられますが、実際、音源のクオリティーは、音楽の専門家でなくてもわかるぐらい、人に伝わってしまうもの。
そうなると、DTMソフト付属のソフトシンセだけでは、なかなかハイクオリティな作品を仕上げることは結構大変で、現実的ではありませんので、プロに愛用されているようなソフトシンセを購入して使うことを視野に入れて行かなければなりません。
ハイクオリティなソフトシンセを使おうとすれば、CPU性能は高い方が良いし、メモリもたくさんあった方が良い。
具体的に言うと、CPUはクアッドコアと呼ばれる、乱暴な例えにはなるものの、ちょうど人間で考えれば脳みそが4つあって、たくさんの処理を一気にこなせるものが欲しい。
メモリに関しては、8GBでも心もとなく、16GBで安心というイメージになってきます。
でも、これだけパソコンの値段も下がってきたこの時代に、DTM用途で税込みで30万円を超える投資はちょっと違う…そう考えた選択肢が、15インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル 2.2GHzプロセッサモデルまたは、27インチiMac 3.2GHzプロセッサモデルということになります。
「ノート型」か「デスクトップ型」かということに関しては、「持ち運びを希望するか否か」という、大変シンプルな話ですので、これはご自身のDTMを活用するイメージに合わせてお選びいただければと思います。

以上、私なりのDTMで使うMacの選び方を書いてみました。
皆様のMac選びの一助となれば、幸いです。

なお、DTM関連商品の選び方につきましては、当DTM教室の無料入室相談会または体験個人レッスンにて、随時ご相談を承っておりますので、講師からアドバイスをご希望の方は、お気軽に当DTM教室にご相談下さい。


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