DTM/DAW用途のノートパソコン選び
現在は、ノートパソコンもよく売れており、既に持っているパソコンがノート型という方も多いのではないでしょうか。
ノートパソコンは、小さくて軽い持ち運び用のモバイル向けノートや、さらにネットブックといった5万円前後の機能や性能を限定したもの。はてまた、家庭内での持ち運びメインで考えられた大画面ノートパソコンまで、様々なタイプが販売されています。
実際、一昔前だと、ノートパソコンではとても性能が追いつかず、DTM/DAW用途には向かない印象がありましたが、高性能化した昨今では、私のメインマシンはノートパソコンです。
まさか、ノートパソコンで曲を本格的に作ることになろうとは…という感じです。
ノートパソコンでBTO注文が出来るものは、デスクトップに比べてそれほど多くはありませんが、ノートパソコンをDTM/DAW用途に使う場合、様々な制約がありますので注意しておきたいところです。
モバイル用のウルトラブックは避ける
まず、ノートパソコンを使用する場合、バッテリーで長時間駆動出来るように設計されたモバイル用の小さなものは、性能が抑えられているケースがほとんどなので、DTM/DAW用途には向きません。
モバイル向けPCの多くは、ビジネスシーンには最適なのですが、そもそもビジネスシーンでは、メールとインターネット、Officeが動けば十分と考えられていますので、たくさんの処理を行うDTM/DAW用途では、かなりの制約を受けます。
取り急ぎ、デスクトップパソコンに近い性能を持ったB5ノート以上がターゲットとなってくるでしょう。なおかつ、デスクトップパソコンと同様、多機能モデルは、あまりDTM/DAW用途には向きません。
外付けハードディスク(USB3.0が理想)を用意する
ノートパソコンで快適に使うためには、外付けハードディスクは用意したいところです。
ノートパソコンに内蔵されているハードディスクは、デスクトップと比べて小さい2.5インチタイプのものがほとんどで、一般的に省スペース並びに省電力が求められるという理由から、回転数が4200rpmや5400rpmのものが使われています。
先に書いたように、ほとんどのDTM/DAWソフトウェアは、回転数が7200rpmのハードディスクを使用することを推奨しているので、こういった理由から外付けハードディスクを使用した方が、パフォーマンス向上のために良いのです。
外付けハードディスクは、現在手軽に手に入るものですと、USB2.0接続のものと、USB3.0接続のものが多く出回っていますが、USB2.0接続ですと、パソコンと外付けハードディスクの間でのデータのやりとりが特にWindowsでは安定しない傾向があるので、あまりオススメ出来ません。
可能であれば、USB3.0接続の外付けHDDを用意し、そちらに音楽データを集めるようにしておいた方がよく、Pro Toolsの動作環境では、過去必須とされていましたので、ノートパソコンでDTM/DAWソフトウェアを使った音楽制作を考えているならば、合わせて用意しておきましょう。
テンキー付きのノートパソコンがオススメ
ノートパソコンのキーボードと、デスクトップパソコンのキーボードの違いは、大抵テンキーがあるかないかというところで、
このテンキーがDTM/DAWソフトを快適に操作するためには必須だったため、ノートパソコンはあくまでサブと考える向きがありました。
しかし、近年のノートパソコンには、テンキー付きのものがありますね。
これは、本当に便利です。
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Cubaseのトランスポート系ショートカット |
なぜ、DTM/DAWソフトを快適に使う上でテンキーが欲しいかというと、図の通りだからです。
DTM/DAWソフトでよく使う操作は、やはり「再生」「停止」「録音」「早送り/巻き戻し」だと思います。(これらの操作をまとめて、トランスポートと呼びます)
そして、これらの操作をマウスで行うことも出来ますが、ショートカットキーを使うと、例えば「Enterキー」を押すだけで再生出来るわけですから、これはマウス操作よりも大変効率的です。
しかし、これだけ便利なトランスポート系ショートカットが、テンキーに割り当てられていることが多いのです。
テンキーがないだけで、どれだけ作業効率が落ちるか…こう考えてしまうと、やはりテンキー付きのノートパソコンは便利だと個人的に思います。
DTM/DAW用途でデスクトップパソコンを選ぶかノートパソコンを選ぶか
DTM/DAW用途で、デスクトップパソコンを選ぶか、ノートパソコンを選ぶかを比較した場合、自分の目指す音楽制作スタイルを考えながら選択しましょう。
デスクトップパソコンのメリットは、何よりも拡張と性能です。
特に、ソフトウェアシンセをたくさん使いたい…というならば、大容量で高速なハードディスクが必要となるため、デスクトップパソコンの方が有利です。
また、拡張性もあるので、使えるオーディオインターフェイスも多くあり、プロ仕様の音楽制作環境を構築することが出来ます。
また、ノートパソコンよりも安価です。10万円前後で十分な性能が手に入ります。
ノートパソコンのメリットは、言うまでもなく持ち運びが出来ること。
バンドなどを組んでいて、リハーサルスタジオでレコーディングがしたいですとか、ライブでノートパソコンを使い、DJプレイや事前に仕込んでおいたオケに合わせてバンドで演奏する…といったスタイルもこなせます。
最近では、USB接続のオーディオインターフェイスも充実してきており、ノートパソコンでもDTM/DAWソフトウェアを使った音楽制作が出来る環境が整ってきました。
自宅でじっくり…というよりは、あちこちに持ち出して、レコーディングをしたり…といった用途が多いというのならば、ノートパソコンを迷わずチョイス。
反対にデメリットは、デスクトップパソコンよりも高い。値段の割には、デスクトップパソコンよりも劣ることが多いし、ソフトウェアシンセをたくさん活用していくといった向きでは、外付けハードディスクを用意したとしても、デスクトップパソコンよりかは劣りますので、自ずと限界もあります。
デスクトップパソコンを使うか、ノートパソコンを使うか、メリットデメリットを鑑みながら、検討してみて下さいね。