数々のゲームやアニメ作品での演奏で知られる、室屋光一郎氏率いる“室屋ストリングス”をキャプチャーしたストリングス音源。

ソフト音源は基本的に輸入モノであることが当たり前のため、日本の音楽文化に合うように工夫して使うのが当たり前でしたが、これぞ日本のサウンドというのを世界に広げる意欲的なソフト音源は非常に興味深いです。

ストリングスアレンジを学びたい方のためのオンライン講座
デモのサウンドに魅力を感じ、Tokyo Scoring Stringsを購入しました。LA Scoring Stringsと比べてみています。

使えるストリングス音源「LA SCORING STRINGS」を意識!?

「TOKYO SCORING STRINGS」のことを初めて知ったときに「LA SCORING STRINGS」をもじったような製品名に「おや!?」と思いました。

というのも、「アニソンに最適なストリングス音源は?」と問われたときに、私は真っ先に「LA SCORING STRINGS」と思い浮かべるからです。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

AUDIOBRO LA SCORING STRINGS 2.5 (LASS)
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アニソンに向いているLA SCORING STRINGS

実際、私自身、アニメ劇伴や声優案件で使っているストリングス音源はLA SCORING STRINGSです。

LA SCORING STRINGSをなぜ使っているかと言うと、スタジオ録音のストリングス音源のため、余計な響きがなく、非常に近い音がするから。

また、ドライな音質を持っている音源だから、オーケストラのようなウェットなサウンドを作りたければ、必要な分だけリバーブなりディレイを用いれば良いという手法が私に合っているなと思っています。

また、LA SCORING STRINGSはレガートが得意な音源でもありますが、アタックの立ち上がりの速さも特徴です。

ストリングス音源は、やはり壮大なオーケストラサウンドを作るために制作されていることが多く、朗々と歌うフレーズは得意とするけど、BPM170の曲で1oct上へクロマチックで駆け上がりなんてやろうとしたら、アタックが遅すぎてついていけないということもしばしば。

その点、LA SCORING STRINGSは、BPM170の曲でも縦横無尽に動く1stバイオリンのフレーズを書いてもついてきてくれるので、激しい動きが求められるアニソンでも積極的に作り込んでいけるのが良いところです。

ただ、LA SCORING STRINGSの最大の欠点はピッチが悪いことなので、その点をネガティブに感じて使わない方もいらっしゃるほか、あんまりにもピッチが気になる場合はAntares AUTO-TUNEを使うことすらあります。


完璧なストリングス音源なんかない問題をTOKYO SCORING STRINGSが解決してくれる!?

結局のところ、完璧なストリングス音源ってないものだな…というのがオチで、結局、ただでさえ高額でパソコンに高負荷がかかるストリングス音源を重ねて使うというバブリーなやり方をせざるを得ないというのが現実だったりするわけですが、そのような状況を打ち破る意気込みを感じる「TOKYO SCORING STRINGS」は期待せずにはいられません。

ネーミングと言い、意欲的なコンセプトと言い、ましてや私たち日本人は世界的に見ても特異な音楽文化を持つ日本的サウンドを海外産のソフト音源でどうにかこうにかして作ってきた状況を打ち破ってくれるかもしれませんし。

なお、本記事公開時点で公開されているデモは、日本のゲーム音楽を意識した楽曲になっています。

また、そのサウンドは「あぁ、聴いたことがある音色だ」と思えるもの。

日本のトッププレーヤーの演奏がDAWで意のままに扱えるというのは非常に魅力的ですね。

最大の問題はソフトウェアとしての使い勝手

デモ音源を聴けば、使えるストリング音源かもと期待出来るのですが、最大の問題はサウンドエンジン。ソフトウェアとしての使い勝手です。

KONTAKTライブラリとして読み込んで使うことと、「TACT(Total Articulation Control Technology)バージョン3を搭載し、キースイッチ、ベロシティ、MIDI CC、ペダルを使って自らのワークフローに沿ったマッピングを簡単に作成可能」という記述から考えると、キースイッチでガシガシ奏法を切り替えてプログラミングしたい私のような人間から、リアルタイムレコーディングしながらMIDIコントローラーでニュアンスをコントロールしたい方にも合うように、様々な使い方を提供してくれるようです。

ただ、現状ではGUIすら公開されていないため、即予約購入と踏み込めないな…というのが私の見立てです。

本記事公開時点では、未知数の状態でのプレーオーダーセール中で、定価51,299円が39,875円。

元々の定価もストリングス音源としてとてつもなく高いという価格設定ではないため、飛びついて即購入するまでもないかなと個人的には思っていますが、良いストリングス音源ならばお得に買いたいことに意を唱える方は多くはないでしょう。

更なる情報公開に期待しつつ、TOKYO SCORING STRINGSが「みんな使っているストリングス音源」の地位を獲得出来るクオリティーと使い心地であることを祈りましょう。

GUIや操作方法などの動画が公開されました(21/10/28更新)

内容を見る限り、明解なGUIのようで使いやすそうな音源っぽいな…と個人的に好感触です。

【TOKYO SCORING STRINGSの商品ページ】

https://sonicwire.com/product/B2606

Tokyo Scoring Stringsを買いました(21/12/10更新)

購入して使ってみました。

LA Scoring Stringsと比べてみています。

200名以上の方が受講されたオンライン講座第3弾は、ストリングスアレンジを学びたい方のための特別講座です